外部理事・監事の導入について


令和74月スタート 公益法人制度の改正

― 外部理事・外部監事の導入について ―

公益法人担当者の皆様、こんにちは!公益法人専門コンサルタントの伊波です。

令和741日から、公益法人制度が一部改正され、「外部理事」と「外部監事」を設けるルールが新たに導入されます。
今回の改正は、法人の運営体制をより透明で信頼できるものにするためのものです。

この記事では、制度改正の背景や具体的な内容、法人としてどんな準備が必要かを、できるだけわかりやすくまとめています。


1. 外部理事・外部監事ってどんな人?

「外部理事」や「外部監事」とは、法人の中の人ではなく、外部の第三者の立場で理事会などに関わっていただく方のことです。

主な役割はこんな感じです:

法人の意思決定を外からの視点でチェックしてもらう

内輪だけで物事を決めるのではなく、公平・客観的な判断を取り入れる

法人の運営の透明性を高める


2. なぜこの制度ができたの?

これまでの制度では、理事会や監事の役割が形式的になっていたり、身内で物事を決めてしまったりするケースが見られました。

そうした問題を解消し、以下のような目的で改正が行われたのです。

法人自身によるガバナンス(運営体制)の強化

社会からの信頼の向上

制度の分かりやすさ・予見しやすさの向上


3. 外部の人って、具体的にどんな条件?

「外部理事」や「外部監事」として選ばれるには、一定の要件があります。

【外部性の要件】

外部理事:その法人や子法人の業務執行理事・使用人でなく、過去10年間にもそうでなかった人

外部監事:その法人や子法人の理事・使用人でなく、過去10年間にもそうでなかった人

【人数の条件】

理事、監事それぞれに1人以上は外部の方が必要です。

【利害関係に関する条件】

理事・監事のうち、配偶者や親族、内縁関係にある方、生計を同じくする方などの「特別な関係者」が、全体の3分の1を超えてはいけないというルールがあります。

4. すべての法人が対象?除外されるケースは?

【外部理事については、例外あり】

以下のような小規模な法人については、外部理事の設置義務が免除されます。

前の事業年度における収益・費用・損失のいずれもが3,000万円未満である法人

 ※公益事業だけでなく、法人全体の数字で判断します。

【外部監事については、例外なし】

法人の規模にかかわらず、すべての公益法人で外部監事を1名以上設ける必要があります。


5. いつから?今の理事・監事はどうなる?

【施行日】

制度が始まるのは令和7年(2025年)4月1日からです。

【今いる理事・監事がいる法人は?】

施行時点で存続している法人については、現在の理事・監事の任期が終わった日の「翌日」から新ルールが適用されます。

【すぐに見つからない場合は?】

外部役員を探してもすぐに適任者が見つからなかったり、突発的に収益などが基準額を超えてしまった場合でも、

 きちんと準備していたことが確認できれば、直ちに行政処分が行われるわけではありません。


6. 法人として今から準備することは?

スムーズな導入のために、以下の点を早めにご確認・ご準備ください。

◆ 人選とサポート

条件に合う外部理事・監事を早めに探し、法人としても必要な情報提供や支援を行いましょう。

◆ 報酬の取り扱い

無報酬でも構いません。ただし、役員報酬が年間2,000万円を超える場合は開示が必要です。

◆ 定款の見直し

たとえば「理事は社員の中から選任する」などの規定がある場合は、定款の変更が必要です。

 定時社員総会で、定款変更とあわせて選任手続きを進めることも可能です。

◆ 事業報告書での開示

外部理事・監事の選任方針や、支援の体制などについては、事業報告書に「運営体制の充実のための取組」として記載するのが望ましいとされています。

◆ 公益認定の維持

外部性の要件を満たさない役員が任期中にいた場合、公益認定の取消リスクもあります。早めのチェック・対応をお願いします。


おわりに

今回の制度改正は、公益法人がより開かれた・信頼される存在になるための大きなステップです。

法人運営を支える皆さまとともに、この機会を前向きに活かしていければと思っております。

ご不明な点や個別のご相談がございましたら、公益法人専門コンサルタントの伊波までお気軽にお問い合わせください。