【わかりやすく解説】令和6年 認定法改正による「事業報告」の変更点とは?
~ 実務担当者が押さえるべきポイントを簡潔にご紹介 ~
令和6年に公益認定法が改正され、定期提出書類、特に「事業報告」に関するルールが大きく変わりました。
今回の改正は、法人の透明性を高めることと、手続のムダをなくすこと(簡素化・合理化)が目的です。
この記事では、事業報告まわりの主な変更点を、現場担当者の目線でわかりやすく整理しました。
令和7年4月以降に始まる事業年度からの新制度に向け、今のうちにしっかり準備しておきましょう。
1. 提出書類は「原則公開」に!
~ 書類はそのまま世の中に公開されます ~
これまで提出した書類は、希望者が請求してきたときだけ閲覧できる仕組みでしたが、
令和7年4月1日以降に提出する書類は、原則として行政庁のホームページなどで公表されます。
実務上の注意点:
提出書類の内容・表現・体裁にはこれまで以上に注意が必要です。
氏名・住所など個人情報が含まれていないか要チェック。必要なら黒塗り(マスキング)も可能です。
公表対象になるのは、事業報告書、計画書、財産目録、定款などです。
なお、令和7年3月31日までに提出した書類は、従来通りの閲覧請求方式となります。
2. 「事業の内容」は計画時に記載!
~ 報告書は“実績ベース”に ~
これまで「公益目的事業の内容」は事業報告に書いていましたが、今後は事業計画の段階で提出することになります。
3. 記載内容がパワーアップ:新たな項目に注意
~ 何を書くか、少し増えました ~
新制度では、以下のような新しい記載項目が加わりました。特に「お金の流れ」や「ガバナンス体制」に関するものが中心です。
主な追加内容:
◎ 役員報酬(2,000万円超)の個別開示
理事や監事で、年間報酬が2,000万円を超える人がいる場合、その金額と理由(業務の内容や社会的相場など)を個別に書く必要があります。
◎ 海外送金の有無と対策
海外送金をしているか、している場合にはテロ資金対策などの対応状況も報告対象に。
年間100万円未満で、特にリスクの高い活動がないなら「送金なし」でOK。
◎ 関連当事者との取引の有無
財務諸表への注記とは別に、「関連当事者取引があったかどうか(有/無)」を明記します。
◎ 運営体制の整備状況(※令和7年4月1日以降の事業年度から適用)
事業の実施状況だけでなく、理事・監事の選任方針や外部チェック体制など、ガバナンス面の取組みについても記載が求められます。
4. 財務規律の変更は令和7年4月から本格スタート
~ 別表の使い方が変わります ~
現行制度(令和7年3月31日までの事業年度)では:
「収支相償」や「遊休財産」など、旧制度の別表A〜Cを使って提出します。
新制度(令和7年4月1日以降の事業年度)では:
新たに「中期的収支均衡」や「使途不特定財産」といった考え方が導入され、様式が刷新されます(詳細は今後発表予定)。
旧別表D(財産関与)・E(経理的基礎)は廃止され、内容は他の様式に統合されました。
最後に:これからの事務担当者に求められること
今回の改正は、ただの「様式変更」ではありません。
公益法人としての信頼性を高めるための制度改革です。
これからは、提出書類が「社会に見られる前提」で作られる時代になります。
今のうちから、法人内の情報管理体制やガバナンスの取組みも見直しておくと安心です。
早めに関係部署と連携し、対応スケジュールや書類の整理を進めていきましょう。