公益法人制度は、社会に役立つ活動を行う団体(公益法人)が、より自由に・柔軟に事業を行えるように整えられた制度です。
令和7年(2025年)4月から、この制度が一部改正され、法人の手続きがより簡単に・合理的になる見直しが行われます。
ここでは、はじめて公益法人業務に関わる方や、制度について知りたい一般の方にも分かりやすく、改正のポイントをご紹介します。
1. 今回の改正の背景とは?
これまでの制度では、ちょっとした事業の変更でも複雑な申請手続が必要であったり、行政の判断にばらつきがあるなど、法人側にとって負担となる部分がありました。
このような課題を解決するため、次のような考え方で制度が見直されました。
・法人の自律的な運営を大切にすること
・行政手続きを簡単にし、予測しやすくすること
・事前審査よりも、事後チェックを重視する仕組みへ切り替えること
2. どこが変わるの?主な改正ポイント
● 手続きがより簡単に
これまで「認定の申請」が必要だった変更のうち、内容が軽微なもの(細かい変更)については「届出」で済むようになります。
【具体例】
・法人が行う事業のうち、一部だけを終了したい場合
・災害時など緊急の理由で短期間だけ新しい活動を行う場合
・他の法人から事業を引き継ぐ場合 など
※一方で、大きく事業内容を変更する場合や、新しい公益目的事業を始める場合は、引き続き「変更認定申請」が必要です。
● 書類の記載方法が分かりやすく・簡潔に
これまで申請書に記載していた細かい予定や数字(開催日程や収支の詳細など)は、今後は別の書類(事業計画書など)にまとめて記載することで足りるようになります。
これにより、毎年少しずつ内容が変わるたびに申請書を直す必要がなくなり、法人の事務負担が減ります。
● 公開される情報が増え、透明性がアップ
新たに、「財産の状況が分かる書類」などがインターネットで公開されるようになります。これにより、公益法人の活動状況や財政の透明性がより一層高まり、一般の方も安心して法人を応援しやすくなります。
● 手続きの処理期間が明確に
行政庁は、以下の期間内で申請を処理するように定められました。
・公益認定申請:4か月以内
・変更認定申請:40日以内
これにより、申請後どのくらいで結果が出るのかの見通しが立てやすくなります(本件に関する標準処理期間は内閣府におけるものです。都道府県の標準処理期間につきましては、各都道府県の担当窓口までお問い合わせください。)。
3. 新しく担当になった方へのアドバイス
最新情報を確認しましょう
→ 公益法人制度の公式サイトなどで「ガイドライン」や「手引き」が公開されています。必ず最新版をチェックしてください。
・法人の自主性を大切にする制度であることを理解しましょう
→ 行政庁は、法人ごとの事情や社会の変化も踏まえて柔軟に対応することが求められています。
・行政からの助言(行政指導)は強制ではありません
→ 疑問があれば理由の説明を求めたり、自法人の事情をしっかり伝えることが大切です。
・書類の提出や公開内容のチェックはこれからも重要です
→ 手続きが簡単になった分、事後的な確認や監督が強化されます。日頃から正確な記録と情報公開に取り組みましょう。
おわりに
今回の制度改正により、公益法人の活動がよりスムーズに、そして社会との信頼関係を保ちながら行えるようになります。
ご不明な点がございましたら、公益法人専門コンサルタントの伊波がいつでもサポートいたしますので、
どうぞお気軽にご連絡ください。